心の魔

帰順した帝釈天は、すぐに支配者たる十天衆(zhòng)に名を連ね、晴れて天人正規(guī)軍の統(tǒng)帥になった。一方、阿修羅は翼団の殘りの兵士達(dá)を率いて、十天衆(zhòng)の支配を打ち破るために動く反亂軍となった。鬼族という強(qiáng)敵を前にして、両者は仕方なく最低限の協(xié)力を続けているが、その矛盾はいつ激化してもおかしくない。

帝釋天的歸順使他很快躋身十天眾高層之列，成為了天人正規(guī)軍的統(tǒng)帥。而阿修羅則率領(lǐng)翼之團(tuán)剩下的士兵，成為了以推翻十天眾為目的的反叛軍。鬼族大敵當(dāng)前，二者之間不得不維持著最低限度的合作，平靜之下卻是暗流涌動。

しかしその上辺だけの偽りの平和は、突如流れた噂によって壊された。いつからか軍にこんな噂が流れるようになった。阿修羅が強(qiáng)く狂暴であるのは、天人と鬼族の間に生まれた混血児だからだ。彼は鬼族の回し者で、天人の裏切り者だ。

然而這表面的和平卻被一個(gè)突然出現(xiàn)的流言所打破，不知何時(shí)在行伍之列流傳，阿修羅之所以如此狂暴和強(qiáng)大，是因他其實(shí)是天人與鬼族的混血，他是鬼族的內(nèi)奸，是天人的叛徒。

それを聞いた阿修羅は、兵を率いて神殿に攻め入った。帝釈天の慰めを失った霊神體は暴走し、その影響を受けた兵士も続々と狂亂し、殺し合いを始めた。神殿の前には屍の山ができた。恐れおののく十天衆(zhòng)は、阿修羅の威信を失墜させるために軍に噂を流したことがバレてしまったから、阿修羅が彼らを根絶やしにしに來たのだと考えていた。

得知此事的阿修羅帶兵殺上神殿，失去了帝釋天安撫的靈神體開始暴走，受到他影響的士兵們陸續(xù)狂化，陷入廝殺。神殿前血流成河，十天眾驚懼不已，怕阿修羅得知是他們故意放出了這等流言擾亂軍心，殺入神殿將他們屠盡。

対策を練っていると、帝釈天が訪れた?！赴⑿蘖_は恐れるに足りません。私が全身全霊を傾け、後顧の憂いのないよう、事件を解決します。」

商議對策之際，帝釋天卻親自前來?！鞍⑿蘖_一事不足為懼，我愿親自前往，定不留后患?！?/p>

神殿の前にいる阿修羅は全身血まみれで、殺戮しか知らない獣のようだ。敵や仲間達(dá)の殘骸に取り囲まれ、未來永劫盡きることのない殺戮の欲望を解き放った怪物は、天人一族の英雄ではなかった。阿修羅は再び、暴虐を盡くす鬼神に戻った。

神殿前的阿修羅渾身浴血，如同只知?dú)垰⒌囊矮F，被敵人和同伴們的殘肢所包圍著，仍舊不知滿足地宣泄著永無止盡的殺欲，眼前的怪物從來不是什么天人的英雄，阿修羅再次變回了暴虐殘忍的鬼神。

「俺の過去を覗き見たのはお前だけだ?！拱⑿蘖_は問いただした。「なぜやつらに教えた？」

“只有你看過我的過去?！卑⑿蘖_質(zhì)問道，“你為什么要告訴他們？”

帝釈天は長い間、ただじっと彼を見つめていた。彼の眼差しは最初の驚きから、悲しみに変わっていく。彼は手を伸ばそうとしたようだったが、結(jié)局手を伸ばすことはなかった。そして最後には、冷たい仮面を被った。

帝釋天看了他許久，他的眼神從最初的震驚，變成悲痛，似乎想要朝他伸出手，但最終卻又沒有。最后變成一張帶著某種冰冷決意的面具。

帝釈天はただこう告げた?！袱ⅳ胜郡藭い郡と摔い??！?/p>

帝釋天只是對他說道，“有人想要見你?！?/p>

彼が動くと、懐かしいのに馴染みのない女が後ろから出てきた。阿修羅は思いもよらなかった。まさかここで再び母に會えるなんて。彼が顔すらほぼ忘れてしまった、弱くて強(qiáng)い女が一歩一歩近づいてきた。

他讓開身，一個(gè)熟悉又陌生的女人出現(xiàn)在他身后，阿修羅怎也沒想到，竟會在這里再次見到自己的母親，那個(gè)他幾乎記不清樣子的，柔弱但又堅(jiān)強(qiáng)的女人一步一頓地朝他走來。

彼の姿を捉えた瞬間、母は抑えきれない喜びを見せた。彼女は周囲の殺し合う兵士達(dá)が目に入らないかのように、殺戮の中心にいる阿修羅に向かっていく。

母親在看到他的一瞬露出掩飾不住的欣喜，她對周圍廝殺的兵士置若罔聞，走向位于血雨腥風(fēng)正中心的阿修羅。

目の前の全てが、村が滅んだあの夜と重なった。阿修羅は身の危険を顧みず駆け出し、體を張って狂った兵士たちの攻撃を引き受けた。しかし彼の觸手は、あの夜のように彼の前にある。

眼前的一切與村莊覆滅的那一晚重合了，阿修羅奮不顧身地沖上去，用身體擋住發(fā)狂的士兵們，然而他的觸手卻仍舊如同那一晚那樣沖在了他的前面。

ようやく再會できた母に觸手が觸れようとした時(shí)、彼はなりふり構(gòu)わず、自分の體で觸手の攻撃を全て受け止めた。その瞬間、彼の肉體と霊神體は引き裂かれてしまった。

他眼看著觸手將要觸及好不容易重逢的母親，情急之下他沖了上，用身體擋住了觸手的全部攻擊，剎那間，他的肉身和靈神體一并被撕扯得粉碎。

阿修羅は渾身の力を使って母を抱きしめ、彼女の身の安否を確認(rèn)しようとした。しかし優(yōu)しい女は何の反応もなく、最後の記憶と同じようにただ優(yōu)しく彼を抱きしめた。

阿修羅用盡全力抱住母親，想要確認(rèn)她的安危，溫柔的女人卻毫無反應(yīng)，只如同記憶中的最后一次那般輕柔地?fù)肀?/p>

疑いの混ざった喜びが阿修羅の心に満ちた。母の懐かしい抱擁の中で目を閉じると、彼が溺れているこの世の殺戮、爭い、その全てが消えた。彼がずっと欲しかったものは、ただの抱擁だった。

交織著懷疑的喜悅充滿了阿修羅的心，他在母親熟悉的懷抱里閉上了雙眼，這世上他所沉迷的廝殺、爭斗，全都一并消失不見。他需要的，從來就只有一個(gè)懷抱而已。

生臭い血の匂いの中で、彼は懐かしい蓮の香りを嗅いだ。阿修羅は再び目を開け、ずっと望んでいた抱擁の中で顔を上げると、その瞬間母の慈悲溢れる顔が、帝釈天の顔と重なった。

厚重的血腥氣里他聞到曾經(jīng)熟悉的蓮花香。于是阿修羅再次睜開了雙眼，在他期待許久的懷抱之中抬起頭來，母親悲天憫人的臉，在那一瞬，與帝釋天的重疊在一起。

「さようなら、私の阿修羅。」彼は優(yōu)しく告げた。

“再見了，我的阿修羅?！彼麄儨厝岬卣f道。

銀色の蓮はついに満開になった。帝釈天は最後に、阿修羅の霊神體にとどめを刺した。

銀白色的蓮花終于綻放開來，帝釋天用最后一擊，刺穿了阿修羅的靈神體。

咲き誇る蓮は血の海で阿修羅が殘した罪を吸い込み、ゆっくり、ゆっくりと血の滴るような紅蓮に変わっていく。

綻放的蓮花吸食著血池中阿修羅所留下的罪孽，逐漸變成如同要滴血一般的紅蓮。